5)約束

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 「おはよう!」  翌朝、階下に下りた一夜を、奈乃花はとびきりの笑顔と挨拶で迎えた。  「…はよ」  「どうしたの?声、元気ないよ?」  「そ、そんなことないよ」  「そ?」  一夜は昨夜のことは言わなかった。  あの後、歌い終わった奈乃花が無事に家に辿り着いたのを見届けてから、一夜も眠りに就いた。  とはいっても、頭から奈乃花の歌声と涙が離れず、ろくに眠ることはできなかった。  「今日はどうするの?予定は?」  「いや、まだ何も考えてないよ」  「じゃあ、朝ご飯食べたら、あの河原まで散歩に付き合ってくれる?」  「ああ、いいよ」  「やった!」  無邪気に喜ぶ奈乃花。  一夜は何も変わりない奈乃花の様子に戸惑いながらも、台所の椅子に座ると、用意された朝食を食べだした。
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