5)約束

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 「う~ん。いい天気!」  奈乃花は河原に着くと、地面に杖を置き、大きく手を広げて伸びをした。  飛行機雲が弧を描くように浮かんでいる青空。  太陽の光が優しくその顔を照らしだす。  一夜は複雑な思いで、その笑顔を見ていた。  「風が気持ちいいね」  「あ、ああ」  「なーに?なんか本当に元気なくない?」  「いや、元気!元気!」  「そう?なら、いいんだけど」  奈乃花はそう言うと、手探りでゆっくりと土手に腰を下ろした。  一夜も続いてその隣に座る。  「昨日はゆっくり眠れた?」  「うん…ナノカは?」  「私?私はぐっすりだよ!イチを部屋に案内してから、そのまま私も自分の部屋にいって寝ちゃったもん」  それは嘘だった。  悲しい嘘だった。  奈乃花は両手を合わせ組むと、もう一度前へと伸びをした。  「ナノカ」  「うん?」  「あのな…」  「なーに?」  「おまえ、本当に歌手になる夢、諦めたのか?」  「えっ…」  「本当はまだ…」
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