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と、その瞬間、鈍い衝撃を感じ、誰かとぶつかった。
「わっ!」
「きゃっ!」
二人は同時に声をあげると、地面に倒れた。
何か物の落ちる音も聞こえた。
一夜は素早く体を起こすと、その人物の元へ駆け寄った。
「すいません!大丈夫ですか?」
「あっ、大丈夫です。気にしないで下さい」
「本当にすいません!…あれ?…って、もしかしてナノカ?」
「えっ?」
一夜はその女性に手を差し伸べ、体を起こすのを手伝いながら尋ねた。
美しいその女性には、どことなく記憶の中にある幼いナノカの面影があった。
「やっぱり、そうだ!如月奈乃花だろ?俺だよ!高遠一夜」
「高遠一夜…って、えっ、イチ?!」
その女性は驚いた様子で顔を上げた。
淡い栗色の髪が風になびく。
「そう、そう!なんかすごい偶然だな」
「ほんとにイチなの?びっくりしたぁ。久しぶりだね。この町に帰ってきたの?」
「ああ、ちょっとな。でも、本当に久しぶり。すっげぇ綺麗になってるから、一瞬誰だかわからなかったよ」
「おだてても何もでないよ」
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