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人混みを抜けて広場を通って、さらに奥。
この街の教会は、喧騒があまり聞こえない街のはずれに存在する。
ディーンが扉を開ければ、木製のそれはキィと音を立てた。
「お、二人とも来たね!さぁさ、中へ入って」
中へ入ると、縦にも横にも大きな、熊のような体をした神父が二人を出迎えた。
「お久しぶりです、神父様。すみません、到着が遅れてしまって」
「構わないよ。そうなるかと思って、皆に声をかけるのはこれからなんだ」
申し訳なさそうに言うディーンを、神父は気にするなとバンバン背中を叩いて笑った。
体の大きな神父の激励は結構な衝撃らしく、ディーンは笑いながらも顔を歪めた。
見ている方まで痛くなるような激励に耐えかねたジルが止めに入り、やっとその動作が止まる。
「神父様、いい加減に力加減というものを覚えてください!会う度にこうだと私もディーンもいつかぺちゃんこだよ!」
「ハハハ!それは僕も困るなぁ!ごめんごめん、これでも僕としては加減してるんだけどねぇ」
大きな体を揺らして神父は笑い、ジルとディーンも一緒になって笑った。
色々と豪快すぎる人だが、心も大きく、二人はそれに何度も救われてきた。
なんだかんだで感謝しているのだ。
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