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本名大竹カズオ。
いてもいなくてもいいという理由からメンマと呼ばれている。年は十八歳。
視力が弱いため普段はコンタクトをしている。
彼が自虐的な性格になったのは幼い日からずっと叱られ続けたことが理由だろう。
どんな事をしても叱られ、逆に何にもしなくても叱られ、言う通りにしても叱られる。
虐待こそなかったが、一度として褒められたことがなかったメンマは、いつしか全ては自分が悪いと思い込むようになっていった。
消えたいとも何度も考えたが死ぬ勇気もなく、さらに自分を責めた。
そんなメンマを一時的にでもそこから救った言葉がある。
『大次郎』前店主の
「包丁使いうまいな」
その一言だった。
生まれて始めて褒められ、メンマは救われていた。
前店主が生きていれば何か変わったかもしれない。
メンマはそんな考えを持ってしまった自分をまた責めた。
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