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机の残骸の上を、大きな音を立てながら、化け物は、徐々にDOQに近づいて来ていた。
(死ぬ。)
DOQは不意に手紙の事を思い出す。
『元気にやってるか?
一郎太。こっちはみんな元気だ。
母さんが倒れて、10年になる。
この間、先生がお見えになってな、母さんの身体、そろそろ限界だって。
一度帰ってこい。生きてるうちに母さんをみてやってくれ。母さんを許してやってくれ。』
(わりぃな。俺が先に死んじまいそうだよ)
DOQは、目をつむり集中した。
外界との関わりをシャットダウンしようとした。
できるだけ、痛みを感じないように、
(気付かないうちに殺してくれ。)
そのDOQの前に男は立った。
口は耳元まで裂けていた。
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