アカシア

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ギュッと抱き締められた。 『竣クン』 『ごめんな、俺が無理させちゃって』 『竣クンのせいじゃないよ』 『でもさ…』 『そんな顔したら泣きたくなっちゃうじゃない』 『いいよ、泣いて』 そう言って、抱き寄せた。 『私、下手だけど、竣クンと一緒にバンドやってたいよ』 『今、休んで、ちゃんと治したら、またできるよ』 『無理だよ』 『無理じゃないよ』 『だって私、あんなに練習したってうまくならなくて、頑張ったって、手痛めちゃうし…』 『ごめんな。俺がプレッシャーかけすぎた。ゆっくりでいいからさ』 『竣クン…』 『それと、のんちゃんの事センスないって言ったけど、嘘だから』 『え?』 『ピアノ聴いた時、ホントはびっくりしたんだ。上手いとは言えないけど、何かいいなって。だから、すぐに俺、一緒にバンドやりたいって思ったんだよ』 『ホントに?』 『ホントだよ』 そう言いながら、照れ臭そうに、私の頭を撫でた。
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