🌕第1章🌕

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いつもいつも、私が疲れた顔をして帰ると 「その顔が気に入らない」と殴る。 笑顔で帰ってみたこともある。 「男でもできたのか」と殴られた。 甲斐甲斐しく〈アイツ〉の身の回りの世話をしても、「押し付けがましい」と殴る。蹴る。 私の何もかもが気に入らないらしい。 ─自分は仕事も家事も、何もしないくせに─ 職場でも、家でも、ストレスが溜まるせいなのだろうか。私は実年齢より老けて見られる。 まだ30手前の女盛りなのに…。 『いらっしゃいませ』 突然耳に入ってきた、少し低めの心地好い声。 ──私は見知らぬ場所にいた── .
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