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質素な、しかし品の良い木目調のテーブルや椅子。
背もたれのない丸い椅子が並んだカウンター。
その奥の棚に、綺麗に並べられているグラス。
訳が分からない。
私は確か家までの道を歩いていたはず──。
『初めてのお客様ですね。Full Moonへようこそ』
長身で黒い服を纏った、端正な顔立ちの男がそこにいた。
『あちらのお席へどうぞ』
男は終始、優しげな笑みを浮かべている。
言われるがまま、私は席に着く。
──何がどうなっているの？
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