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岩村は教室を見回していたが、ついに震えるサルを発見した。ズンズンとこちらに近づいてくる。間近で見ると威圧感倍増だ。サルは俺の影に隠れる。結果的に岩村と対峙する格好になった。
「成岡はいないのか?」
どうやらマサは危険を感じて足早に下校してしまったらしい。
「さっきまでいたんですが、今はいません。」
岩村は舌打ちをする。
「明日会ったら俺が呼んでいたと伝えておけ。」
とりあえず頷いておく。
「仕方ない。今日は工藤だけにしておくか。」
そう言ってサルに手を伸ばそうとした時、サルが言った。
「せ先生、ままま待ってください。」
動揺しているのか激しくどもっている。
「お俺をつ連れ出すとこここいつが黙っていませんよ。」
そう言って俺を指す。岩村は俺を見る。
「そうなのか?」
ここまで頼られちゃサルでも仕方ない。サルに向かって頷く。サルも頼んだというふうに頷いた。それから思いっきり眉間にシワを寄せ目をつり上げて岩村を睨み、
「違います!」
「バカやろう~!!!」
「それなら構わないな。」
岩村はサルの腕を掴んで俺の影から引っ張り出す。サルは目に涙をいっぱい溜めていた。そして手を伸ばして縋るような声で広太に助けを求める。
「広太!広太!助けてくれ!幼なじみの力見せてやろうぜ!?」
「陽平、今日お前ん家寄っていい?」
「ああ、構わねえよ。」
「ヒドッ!この薄情者!末代まで呪ってやる!」
「うるせえ!」
ゴンッ
岩村の拳骨がサルの頭にヒット。
「いてぇぇぇ!!!」
そのまま引きずられていく。
「お前ら!それでいいのか!?仲間見捨てていいのか!?」
「広太、今まで通りこれからも2人仲良くやっていこう。」
「ああ、もちろんだ。」
「冷たっ!存在くらい認めてくれよ!」
「ほら行くぞ。」
引きずられて教室を出て行く。
「うわ!助けて!うわ!うわあああああーーー!!!!!」
「だからうるせえんだよ!」
メリッギシシシシシィ
「う!?ギャアアアアアアアーーー!!!!!!」
生理的に嫌な音がしてから廊下には断末魔の叫びが響き渡った。
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