第一章

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岩村は教室を見回していたが、ついに震えるサルを発見した。ズンズンとこちらに近づいてくる。間近で見ると威圧感倍増だ。サルは俺の影に隠れる。結果的に岩村と対峙する格好になった。 「成岡はいないのか?」 どうやらマサは危険を感じて足早に下校してしまったらしい。 「さっきまでいたんですが、今はいません。」 岩村は舌打ちをする。 「明日会ったら俺が呼んでいたと伝えておけ。」 とりあえず頷いておく。 「仕方ない。今日は工藤だけにしておくか。」 そう言ってサルに手を伸ばそうとした時、サルが言った。 「せ先生、ままま待ってください。」 動揺しているのか激しくどもっている。 「お俺をつ連れ出すとこここいつが黙っていませんよ。」 そう言って俺を指す。岩村は俺を見る。 「そうなのか?」 ここまで頼られちゃサルでも仕方ない。サルに向かって頷く。サルも頼んだというふうに頷いた。それから思いっきり眉間にシワを寄せ目をつり上げて岩村を睨み、 「違います!」 「バカやろう~!!!」 「それなら構わないな。」 岩村はサルの腕を掴んで俺の影から引っ張り出す。サルは目に涙をいっぱい溜めていた。そして手を伸ばして縋るような声で広太に助けを求める。 「広太!広太!助けてくれ!幼なじみの力見せてやろうぜ!?」 「陽平、今日お前ん家寄っていい?」 「ああ、構わねえよ。」 「ヒドッ!この薄情者!末代まで呪ってやる!」 「うるせえ!」 ゴンッ 岩村の拳骨がサルの頭にヒット。 「いてぇぇぇ!!!」 そのまま引きずられていく。 「お前ら!それでいいのか!?仲間見捨てていいのか!?」 「広太、今まで通りこれからも2人仲良くやっていこう。」 「ああ、もちろんだ。」 「冷たっ!存在くらい認めてくれよ!」 「ほら行くぞ。」 引きずられて教室を出て行く。 「うわ!助けて!うわ!うわあああああーーー!!!!!」 「だからうるせえんだよ!」 メリッギシシシシシィ 「う!?ギャアアアアアアアーーー!!!!!!」 生理的に嫌な音がしてから廊下には断末魔の叫びが響き渡った。
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