第一章

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岩村の地獄送りによってサルを欠いた俺と広太は2人で帰ることに。 「サル生きてるかな。」 広太は声を出して笑う。 「大丈夫だろ。あいつは平気そうな感じがするよ。」 なにせゴキブリ並みのバイタリティの持ち主だ。確かに岩村にシメられただけでは見た目には憔悴していたとしても、内心ではびくともしていないだろう。 「まあ、頑張ってただけに気の毒ではあるよな。」 「そうだな。でも、何かは残るんじゃないか?」 「そうだといいけど。」 遠くの山を見る。すぐ上には夕陽があった。今日も一仕事終えていつもと変わらず、山の影へと帰っていくのだろう。変わるといったら業務時間が日に日に少なくなっていくことくらいだろう。 「そういえばマサはどうしたか知ってる?」 「ああ、あいつなら授業が終わってすぐ教室から出てったよ。」 微妙なところで勘のいい奴だ。きっとあの岩村でもマサだけは捕らえることはできないと思う。もちろん岩村に頼まれた通りマサには伝えるが、馬耳東風を決め込むことは目に見えている。2人とも同じことを考えていたのか広太と目があったらお互いに苦笑した。 気がつくと新学期が始まっている。時間が経つのは早いことを痛感する。最近関わりがなくて忘れがちだが、学校が始まるということは勝負も始まるということだ。また色々と面倒なことが増える。大きくのびをする。来るべきその面倒な日に向けて今日は早く寝ようと思った。 余談だが、翌日サルは学校を休んだ。いったい岩村との間に何があったのか。それから後に訊いてみてもそのことになると急に口を閉ざす。その日は岩村には刃向かうまいと心に誓った日でもある。
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