第一章

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あの忌々しい夏休みの課題テストも終わり、学校が始まってから2週間余りが経過した。 相変わらず残暑というにはちょっと控えめなんじゃないかと思う暑さが続いている。テストも終わったわけで、当然俺は自堕落な生活を送っていた。 「なんか面白いことねぇの~?」 今は昼休み。サルが机に顎を乗せてへばりながらのたまった。 「文化祭も体育祭も来月だ。半月くらい我慢しろって。」 「ほいほい。」 そう言ってサルは頬を机に押し付ける。やめろ。お前の脂がつくだろ。 すると広太が箸の動きを止めて、夏休み中切らなかった長髪をかきあげて 「それにしても今月はやることないな。ただ暑いだけか。」 まあ、確かに暇だ。教室に帰ってきたらテルに面白いゲームをまとめ借りしようか。 「それなら今日からはダラダラ推進週間ってことでどうよ。」 サルが顔をあげて言う。珍しく俺もサルと同意見だ。夏休みの反動のせいなのか、どうにも活気が湧いてこない。オーラの見えるらしい有名なあの人に今の俺を見てもらったら間違いなく苦い顔をするだろう。それに、このくそ暑い中だ。何もやっていられたもんじゃない。 そんなことだからこんな言葉が何気なく出た。 「サルの言う通りにしてみるか。」 「え?まさかの陽平OKがでましたよ広太さん。」 サルが元々大きめの目を見開いていた。 それを受けて広太は箸を置いてから腕を組んだ。 「おう。てっきり"お前はグータラな奴だな。死んどけ愚図猿"とでも言うと思ったわ。」 「まあ…そうだけど…。ちょっと言い過ぎかなぁ…なんて…。」 「いや、気分が悪ければそのくらいは最低ラインだ。」 「どんだけ言うんだよ!」 すると広太は箸を指で回しながら 「まあ、珍しいな。なんか起きるかもな。」 落ち着いたサルも頷いていた。 今思うとこれが発端だったのだろうか。どうやら気まぐれな神様は俺の戯れ言を聞き逃す気はさらさらないようだった。
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