†プロローグ†

7/8
前へ
/20ページ
次へ
  色様々の五匹の龍を―――。 『我等を汚すものは誰とて許さぬ。』 清らかに心地よい声音が不思議と辺りに響いた。 男は悔しそうに口を結んだが、やがてまた不気味に笑いだした。 『いや、まだだ――!!あの方が生きている限り、続く―――!!!終わりなど、ないのだ―――!!!』 不気味な笑い声がそこで止む―――。 男は息絶えた。そして闇と同化し消えていった。 あとには黒いマントだけが残り、空から降る雨が容赦なくそれを濡らしていった。 龍達は飛翔した。天に向かって。 ―――やがて辺りは明るくなっていった。雨もやんだ。 沈黙が続く。 そして――― 一匹の龍が重い口を開けた。 『あやつが生きている限りこれは続いてしまいます。』 悲しそうな、辛さを含んだ声だった。 『そして、同胞も深手を負った。』 『我等の力はかなり落ちただろう。』 ―――なぜならば………。 『最後の希望を待とう。それしか我等に残された道はあるまい。』 『それまで眠ろう。我等の地で。』 五匹の龍は四方に飛んだ。 .
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加