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「口で言っても解らないようなら……身体で気付かせるしか無いようだな。」
室内に突然,風が舞い起きる。
少年が空中に高く飛び立ち,流星の如く急下降し,もう一人の少年に蹴りを入れたからだ。
「つっ……!!!」
蹴りをモロに食らった少年は開きっ放しだったドアの扉にぶつかり,ドアが勢いよく閉まる。
「ふっ…やってくれんじゃねぇか…この前後頭部にレンガがアタッタコトまだ根に持ってんのか?言っとくけどアレは事故だぜ!!?」
「フンッ,アレが事故か…。だとしたらダンテ,貴様の手は神経が狂ってるんだな…いや,頭もか?」
「んだと,バージル!!」
ダンテは立ち上がり,バージルに向かって駿足で走り出す。拳に全身全霊の力を込めて。
バージルもそれに応えるかのように走り出し,拳を突き出す。
拳と拳がぶつかりあい,再び二人を取り囲むように風が舞い起こった。
2人は互いを睨み合う。白銀に輝く髪,幼いながらにして鋭く光る碧眼……2人の背格好,表情,どちらがどちらか区別がつかないほどに,よく似ている。ただ,性格を除けば。
「いいかげんにしなさいっ!!!喧嘩ばかりして!たまにでいいから仲良くはできないの?!」
キッチンから顔をのぞかせ,2人を叱る女性。美しく光り輝く金の髪,そして叱りながらもそのまなざしは優しく,愛情に満ちている。
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