六つ指

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目的の一本杉の下が隠れて見渡せる茂みに、息を潜めていた、喜助と太平の元に一番に駆けつけたのは、やはり藤吉郎だった。 「首尾は」 声を潜めて藤吉郎が聞く。 「あそこじゃ」 喜助が指差す方へ視線を送ると、人影が二つ見えた。 そして、傍らに馬が二頭繋がれている。 「馬」 藤吉郎は、まずそこに引っかかった。 「気をつけろ あらぁ只の野武士じゃねぇ」 少し考えた後、喜助と太平にそう告げた。 「何でじゃ」 すぐさま、太平が聞き返したが、藤吉郎は、右手の六つ指を開いてその言葉を制し、獲物を監視しつつ、小六と矢吉の到着を待つことにした。
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