プロローグ

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十二月の寒くなる時期。 街は灰色の雲に包まれている。 そんな天気を気にすることなく新聞部の部室で私――葉紗風矢那(はさかぜ やな)は何時も通りラジオを聴きながら明日の掲示する学内新聞を一人で作成していた。 本当なら数人で作成するのだが。 今日はあいにくにも私を含めた六人居る部員の半分が風邪や諸事情で早退をしている。 だから、今は仕方なく私一人でやっている。 何時もなら、そろそろ一年下の後輩が来るのだが……。 今日に限って未だ来ていない。 「はぁ~」 溜息と共に白い息が私の口から吐き出される。 その白い息がふわふわと天井へ向けて上がっていくの見ながら。 「あ~冷える。そろそろ、あれをつけたほうがいいみたいね」 自然と愚痴をこぼし。 部室内の隅にあるストーブを付ける為席から立ちあがった。
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