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「健ちゃん、待ってよ!」
始めまして、坂崎健一です。
今、追い掛けられてるのですが……なかなか逃げ切れないというか……とにかく走ってます。
後ろから、幼なじみの嘉納雪(かのうゆき)が追い掛けてくる。
……箒で空を飛びながら。
いや、非常識なのは分かっています。でも、これが僕の常識なのです。
「待てといわれて、待てますか!」
「あぁ~ん、私に捕まえられてぇぇ~!」
……誰か助けてください……僕を助けてください……。
しばらく走ると、だんだん雪の声が遠くなってきて――誰かにぶつかりました。
「あ、ごめんなさ…………っ!?」
目の前に居たのは全身真っ黒で、鎌を握っていて、バランスを崩しながらも僕を真っすぐ見てきます。
「……お兄ちゃん、やっと。みぃーつけたぁ」
鎌が振り下ろされました。
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