愛し、愛され、東奔西走

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「………………の、こと」 「……はい?」  うまく聞こえなかった。雪が喋った言葉の前半が聞き取れず、聞き返してしまった。  すると、雪が大きなため息を吐く。苦笑しながら私の目を見て…… 「だからね? 瑠美ちゃんのことが聞きたいなぁーってね? 今までのこととか、思い……とかね?」 「……私の、ことですか……?」  私は驚いた。  だって、今まで誰も私のことなんて興味もなかったように、無視され続けてきたから。  なのに何故、この雪と言う人は私に興味を抱くのだろうか? 「何故、私のことを知りたいのですか? 別に知らなくても、良いことじゃないですか」 「……ふふ」  雪は笑った。  何が可笑しいのだろうか? 何が笑う原因なんだろうか? 「瑠美ちゃんは、健ちゃんのことが好きだよね? 私、ライバルの情報は戸籍から調べるんだけど……」 「いや、戸籍からって……」 「まぁ、端折って言うけど……友達になろう!」  友達、ですか……?  今まで私は友達も居なかった。しいて言うなら、大切な人……つまり、健一君だ。  そんな私に、友達になろう……と、言う雪。 「……私と、友達に……ですか? 今まで、誰からも相手にされず誰からも見てもらえなかった私を……?」  ……驚いた。
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