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「……健ちゃん、これは……その……えーっと……ねぇ?」
そういうと、雪は朱美の顔を見た。朱美は急に自分に振られたのを驚いて、しどろもどろしていた。
その朱美が、助けを求めるように瑠美の顔を見た。留美は少し戸惑いながらだけど、僕をしっかり見た。
「あ、あのですね? こ、これは健一様がのぼせて倒れてないか不安であって、その確認みたいなものであってですね……」
凄く困ってるみたいだった。いや、困りながら言われても……逆に僕が困るだけなんだけど……。
まぁ、三人が苦笑しながら僕を見ていたので、普通に笑いかけた。
すると三人は僕が怒ってないことが分かったのか、安堵の表情を浮かべた。
「とりあえず、僕はもう寝るよ? 雪ちゃんはどうする? 帰る?」
「んー……もう、時間的には遅いよねぇ~」
時間を見たら、もう既に十一時を過ぎていた。明日起きれなくなる時間じゃないのかな?
「そっか~。じゃぁ、泊まっていきなよ。――そういえば、留美ちゃんはどうするの?」
急に自分に話が来たのを困ったのか、留美はあたふたしたが気を取り直して、僕に向き合った。
「わ、私は健一様のメイドです! ですから、私もこの家で住みたいと思います! ……まぁ、帰る家はありませんし……」
その瞬間、雪と朱美の目が光ったような気がした。僕の思い過ごしなら、嬉しいんだけどね……。
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