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「ふぅ、一時はどうなるかと思ったわ」
雪と朱美を寝かし付けて、戸締まりをして……庭へ出ていた。
「うんっ……! 涼しぃーわぁー……」
あ、私しか居ないので口調を変えてますよ。
まぁ、スイッチの使いどころが問題ですけれど。
「……やっぱり、健一君は変わらないな。雪さんや朱美ちゃんも可愛いしぃ~!!」
……あ、そんな目で見ないでくださいっ。
「うんうん、本性は素直に……ね?」
「へ?」
私が振り向くと、雪が立っていた。ニヤニヤ笑いながら、私を見つめていた。
……少し、焦りましたね。
「……瑠美ちゃん、何で健ちゃんに敬語を使うのかな~? ――なんか、あったね?」
何故、この人はこんなにも鋭いのだろうか。まるで……すべてを見透かしているような。
……いや、間違いなく見透かしているだろう。
「……今はまだ、健一君が許してくれるまでは。駄目なの! ――だから、待って? 絶対に……話すから」
チラッと雪を見ると、目を見開いて驚いていた。
無理もない、急に意味が分からないことを――
「ふ~ん……。じゃ、信じてるよ!」
――分からない……。
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