242人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
……何故雪は、深く詮索せずに笑っていられるのだろうか。
私は……?
私なら……絶対深く詮索するであろう、隠し事を……雪は信じて話すのを待つと言う。
「……何で、待つの? ――何で貴女は、今日初めて会った私を信じようとするの? 貴女はお人好しなのかしら? 何で、なにも詮索しようとは思わないの?」
私の言葉に考えるふりをした雪は、ニヤリと笑うと私の目の前に歩いてきた。
……女の私が、同じ女である雪を見た瞬間。彼女が可愛く見えた。
「そうねぇ~……簡単に言うと面倒だからって感じなんだけど……」
くるりっと回ると、雪はスカートを翻しながら両手を空に上げた。
まるで、空が落ちてきて。
その落ちてきた空を、全て抱き込むように。
「ちゃんとした理由は、私がそうしたいからよ? それに、お友達でしょ? なら……信じてみるのも大事じゃない?」
今までの何かを狙っている笑いから、親しい人にしか見せない笑顔で。
私の目の前の雪は、確かに笑っていた……。
「……そうだね、私達……友達なんだよね……雪さん……」
「もぉー、瑠美ちゃんは年上なんでしょ? 雪、で良いよっ!」
……そうか、そう言えば私が一歳年上だった。
最初のコメントを投稿しよう!