それから

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久し振りに出た外は清々しく、風が心地好かった。 気温は、まだ少し朝の冷えた空気が残り、肌寒く感じる。 アタシの右手以外は……   時々、光合成をする為にベランダへ出たりはしていたが、また違った世界に感じた。 『ごしゅじん』が一緒だからだろうか? アタシの手を引いて、先を歩く彼は何だか楽しそうに歩いている。 周りから見たら、奇妙な光景であろう。 後ろ手に見えない何かを引き連れているように見える彼を、可笑しい人だと思うだろう。 そんな時、道端で世間話に花を咲かせていた奥様方が何やら此方を見てはコソコソと話しているのが目に入った。 それを全くといっていいほど、『ごしゅじん』は気にしていないようだ。 そんな『ごしゅじん』の様子を窺っていると、それに気付いたのかアタシへ振り返り、“ちょっと待ってて”と耳打ちした。 そして、コソコソと話していた奥様方へ襲いかかる勢いで“うがぁ”とか、よく分からない事を口走りながら追いかけて行く。 奥様方はというと、当然の如く“きゃあきゃあ”言いながら散っていった。 暫し、沈黙が流れる。 『ごしゅじん』は満足したのか、満面の笑みを浮かべながらスキップでアタシの元まで戻ってきた。それから、アタシの手を取り、再び歩き出す。 “これで何日間かは話題には困らないだろ”と、言いながら。
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