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「ところで荷物はホテルかな?」
「え…?」
パーカーは質問の意味がわからないかの様に聞き返してきた。
「荷物。着替えとかパスポートとかあるでしょ?」
「あ…うん。知り合いの人に預かってもらってるんだ!」
「そっか。じゃあ着替えだけでも取りに行く?」
「え、いや…あ、浴衣!浴衣を着てみたい!!」
「浴衣か…あったかな?ちょっと待ってて。」
僕はパーカーを一人部屋に残して母さんに聞きに行った。
「浴衣はないかな。でもせっかくだから買ってらっしゃい。」
そういうと母さんは僕にお小遣いをくれた。
パーカーにそのことを伝えようと部屋に戻ると、パーカーの姿はなかった。
「あれ?パーカー?」
部屋の中を捜したが、やはりいない。
「おーい、トモキ!」
窓の外からパーカーの声がしたので僕は目をやった。
するとパーカーが笑顔で手を振っていた。
僕は急いで支度をしてパーカーのもとへ向かった。
「いつの間に…!?」
「あはは!早く行こうよ!」
僕と母さんの会話を聞いていたのだろうか。
それにしても僕の部屋から玄関まですれ違う事なく行くなんて出来ないはずだ。
僕にはどうしても解せない。
そんな僕とは対照的に、パーカーは早く浴衣が欲しいのか僕を急かす。
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