第1話

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「トモキは浴衣って着た事あるの!?」 「あ、うん。小学生の頃は夏祭りに必ず着てたよ。」 「今はもう着ないの?」 「そうだね…でも久しぶりに着ようかな。」 「やったぁ!トモキとお揃いだね!!」 嬉しそうに笑うパーカーを見ていると、自然と僕も笑顔になっていた。 いつからか僕は無機質、無気力と言われるようになっていた。 周りの言っている事は間違いじゃない。 小学生の頃は野球ばかりしていて、家に帰るのが遅くなってよく怒られた。 僕が変わってしまったのは中学生の頃かもしれない。 友達を信頼出来なくなり、努力しても自分の限界を越えられない事を知ってしまった。 だから野球も辞め、勉強も面倒に感じるようになった。 何もしなくても普通に生活は出来る。 そう、僕は普通に生きていければそれでいい。
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