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それから僕とパーカーはお互いに浴衣を選んだ。
「ちょっと派手じゃない?」
僕はパーカーの選んだ浴衣を着て鏡を見ながら言った。
「トモキにはそのくらい明るい方がいいと思うよ?」
「え、そう?」
「うん。なんか…」
「ん?」
「あ、いや…なんでもないよ!」
パーカーは何か言いたかったみたいだったが、笑って誤魔化した。
「パーカーって、本当に日本人みたいだね。ずっとベッドの上で過ごしてたとは思えないよ。」
「ど、どうして…!?」
何故かパーカーは焦りだした。
「僕のクラスの人と同じ態度だったから…」
「トモキのクラスメートと?どんな所が?」
パーカーは僕の顔を覗き込むようにして見つめている。
「僕に対して何か言いたい事があるのに、傷付けないように我慢するところかな。きっと僕が機械的に見えるんでしょ?」
「機械的?」
「表情が無いとか、無関心だとか。人間として何かが欠落してるように見えるらしい。」
「そんな酷いことを言われるの!?」
「え…?」
パーカーには予想外の事だったらしく、怒っている。
「僕は…例えトモキに何かが足りなくてもいいと思う。だって完璧な人間なんていないはずだよ!クラスメートには機械的に見えてるかもしれないけど、少なくとも僕にはそんな風に見えないよ!」
じゃあパーカーは僕になんて言おうとしたんだろう?
疑って掛かってしまった僕にはそれ以上聞き返すことが出来なかった。
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