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その途端、私が覗きみていた聖堂のドアが
一気に開いた
神父『ッ!!』
月明かりに照らし出されたそこには
美しい、太ももくらいまである長い髪をなびかせ
口から血をたらした
女が―…
神父『な…何をしている!!』
驚きのあまり、声がうらがえる
女『…』
月明かりの逆光と
長い髪のせいで
顔はよく見えない
もう一人の生徒は、ぐったりとした様子で床に伏している
神父『なにを…していたかと聞いている』
女『血を頂いた…その礼だ』
女は身をひるがえした
神父『ま…まて!!』
私は
彼女の後を追うが、恐ろしいくらいに足が速い
聖堂を飛び出し―…
サアッと風が吹いたときには、既に彼女の姿はなかった
女『千晶神父…夜の聖堂には近づくな…』
バッと後ろを振り向いたが
そこには虚しく闇があるだけ―
千晶『とりあえず…倒れている生徒を保護しないとな…』
私は聖堂に戻ろうと
再び駆け出した
だが―
千晶『何故あの吸血姫は私の名前を知っていたのか―…』
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