大切な存在

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 早朝、まだフォルトナ全体が静まり返っているころ、クレドとネロはそそくさと当直室を出てくる。  まだ朝靄が晴れきらないミティスの森に向かい、歌の練習を始めるネロ。澄んだ歌声が森に響き渡る。 「…どうかな?」 「うん。なかなか良い」 にっこりと笑い、少し恥ずかしそうなネロ。クレドもそんなネロが可愛らしくてたまらなかった。 「じゃ、先に帰るよ。早く帰ってこいよ」 「終わったら真っ先に帰るさ」 手を振り、町中へと姿を消すネロ。クレドも教団本部へと姿を消した。  家に帰ったネロは、特別何をする訳でも無く、自分のベッドに倒れ込むとそのまま眠ってしまう。  置き手紙で、キリエは今夜も友達の家に泊まると書いてあった。  夕暮れ時にクレドも帰ってきた。キリエの置き手紙を見ると、そっとネロの部屋に行く。ベッドに横になり気持ち良さそうに眠るネロの顔を軽く撫でると、目を覚ます。 「帰ってきたんだ…」 「すぐに帰る。って言ったろ?」 クレドに甘える様に擦り寄るネロ。可愛らしくも妹以上の感情さえ沸いてくる。 「一緒にお風呂入ろ」 「良いよ」 にっこりと笑い、承諾するクレド。教団剣士のシャワールームで見慣れているせいか、裸同士の違和感は
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