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次の日、キリエとキッチンに立つネロの姿があった。ぎこちない手付きながらも必死に包丁を扱う様、見ている方が大変だ。
「…大丈夫?」
「大丈夫っ」
力任せに切るものだから、豪快な音が響く。
最初こそ心配だったが、日にちが経てば包丁の扱いにも慣れてきたようだ。
洋服も時折、女の子らしくなり、キリエに教わったのだろう化粧もするようになってきた。
クレドとの交際も順調に進んでいる中、今日もまた、キリエは友達の家に泊まりらしい。
「遅いなぁ…」
家に一人でクレドの帰りを待つネロ。料理は作れるだろうと思ったのか、以前はあった、作り置きは無い。
時計を見て、流石に遅いと思い、家を出る。
薄暗くなっている町中を歩き、教団本部へと続く広場で、一人クレドの帰りを待つ。
鼻歌を歌いながら、クレドの帰りを待っていると、聞き覚えがある声がする。教団剣士の同期だろう。
『見付かると面倒だな…』
背中を向け、なるべく見つからない様にやりすごす。
やりすごせ、気が抜けた所にクレドがネロの肩を叩く。
「迎えにきたのか?」
「クレドー。だって遅いー」
思わずはしゃいだ声を上げ、クレドに飛び付くネロ。 雑談に夢中でネロの存在に気付い
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