紅一点

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 フォルトナの魔剣教団剣士のシャワー付きのロッカールームに、シャワーを浴びる音と共に歌声が響く。  歌っているのは、銀髪が印象的な魔剣教団の若い剣士。名前はネロ。  他の剣士達はまだ来ていない様子で、広いシャワールームで一人で浴びている所に、ガヤガヤと他の剣士達が入ってきた。 「相変わらず歌、上手いな」 「そりゃどうも」 魔剣教団剣士の中で唯一の女性剣士であるネロだが、シャワールームを分けるとか時間をずらす訳でもなく、堂々と男性陣の中に混ざっているのだ。 「なぁ~ネロさ~、俺と付き合わね?」 「やだ。絶対ぇ体目当てじゃん」 「じゃ、一回ヤらせて」 「一緒じゃんさ~」 一番身近なネロが取っ付き易いのだろう。冗談混じりにこんな会話がなされていく。 「じゃあ…ネロは恋人とか居るの?」 「それより前に、気になる人じゃね?」 「つかさ、ヤった事あんの?」 お決まりの質問攻め。剣士は数百人と居るから、個人個人の、名前などは覚えることなど出来ないが、仕方なく質問の相手はする。 「誰も居ないよ。勿論、ヤった事だって無いし。  このご時世だ、逆に結婚するまでプラトニックでいたいね」 キュッとシャワーを止めると、そのままロッカー
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