もっと!シメる夫!! 【長男の章】

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長男が、力哉君達の誘いをキッパリ断わり切れない理由も、実は、こんなところにあった。 心の奥底に、 『自分もやってみたい』――という気持ちが、 隠れているから、中々、バッサリ断ち切れないのである。 …嗚呼。 どうしてこうも、ヤツの気持ちが分かってしまうんだろう? 自分の子供だからか―? …そして。 彼の本心が分かるだけに私自身も、どうしたものかと悩んでいた。 子供のやる気を優先させるか――? それとも、 状況的に『分が悪い』と辞退させるのか――? こんな時、世の親は、 どんなアドバイスをするものなのだろう? 育児の悩みは数あれど、子供も成長してくれば、 親の悩み方も変わってくる。 まさか、 これしきの問題で、 こんなに頭を悩ませる事になろうとは……。 息子らが赤ん坊だった頃には、ちょっと考えられない境涯だ。 『乳児時代』の我々は、主に、体の生育や病気の事で悩んでいた。 だが、少年期の今は、 子供達の『心の成長』の事について悩んでいる。 子供達にとって、 『心の成長』に大切な 要素は何なのか―? 【自尊心】と【克己心】 【やる気】と【能力差】 どちらを重要視して、 道を選ぶべきか――。 又は、 選ばざるべきか――。 親の主観で、 サクサク決めつけるのが難しくなってきた。 子供の心を育てる時期に差し掛かっているのだ。これまで以上に、慎重な判断を迫られる。 だから、些細な事でも、イチイチ深読みして、 迷走するのである。 それを夫は、 『お前にゃ向いてない』…と、アッサリ一刀両断してしまった。 ちょっと、 あんまりな気がする。
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