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事情を聞いた夫も、最早何も言わなかった。
こうして、
長男の参加により、
1年A組のフットサル
《Aチーム》は、
ようやく始動した。
メンバーの意見により、かっこいいチーム名も、決まった。
チーム名:
ファイティング・ドラゴン(仮称)――。
…すげぇな、おい…。
ファイティングで、
ドラゴンだってよ――。
いいのか、
こんな物凄いチーム名にしちゃって?
竜だよ、竜!大丈夫か?
『名前負け』しなきゃ、良いのだが―――?
…しかし、やはり。
チームの結束は弱く、
既にバラバラであった。
当初の予想通り、
Aチームの練習は、
一向に進まない。
チームリーダーの力哉君は、昼休みの練習にも、
全く参加しないらしい。
メンバーの中心である、浩介君や貴博君も、
ボールを蹴るどころか、触れた形跡すらない…という有り様だ。
毎日、鬼ゴッコや鉄棒などして普通に遊んでいる模様である。
この一週間、
サッカーらしい事は、
まるでしてない。
…仕方ないので。
長男は、
Bチームのメンバーに
混じってと、少しずつ
練習する事にした。
Bチームのリーダーである慎一君は、サッカーが大好きで面倒見も良く、普段から長男とも、
とても仲が好いという。
……どうせなら。
Bチームに入れて貰えれば良かったのに……。
私は、内心、
とても悔しかった。
それにしても、だ。
大会まで、
間もないというのに…。
Aチームは大丈夫なのだろうか?
いくら、『遊び半分』のエントリーだからって、
ちょっとタルミ過ぎじゃなかろうか?
やはり――。
1年生に自主練させるだなんて、どだい無理な話なのだ。
ま、この際――。
負けて悔しい思いをするのも、奴らには良い経験になるとは思うが……。
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