もっと!シメる夫!! 【長男の章】

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大会前日――。 午後から少し強い雨が、降ってきたので、 私は傘を持ち、車で長男を迎えに行った。 下校時刻を過ぎた頃…。 静かだった玄関口付近が俄かに騒がしくなった。 大勢の児童が、中から、 『わあっ』と溢れ出してくる。 …正月の初売りセール みたいだ。 行き交う子供達の波―。 当たり前だが、 皆各々、体格も違えば、服装もマチマチだ。 この中から、長男の姿を見つけ出さねばならぬ。私は、必死に背伸びをした。 …ったく、 どいつもこいつも。 何食わせりゃ、こんなにデカく成るんだ? 向こう側が、見えない。 たまに、肩先がちょっとぶつかったりすると、 その勢いで、私の方が、コケそうになる。 私は、身長が、 150cmしかないのだ。 下手すると、 5~6年生の子供より、 小さかったりもする。 ………くっそ。 負けてたまるか! 無駄に闘志を燃やして、私は、生徒玄関口に、 立ちはだかった。
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