651人が本棚に入れています
本棚に追加
/622ページ
人混みの中――。
一年生の黄色い帽子は、
よく目立った。
私は、
黄色い帽子を頼りに、
懸命に長男を探した。
常時、折り畳み傘を持たせてあるので、別に、
わざわざ迎えにくる必要など無いのだが…。
こんな風に、
雨が強さを増して来ると何だか急に心配になり、
迎えに行ってあげたく
なる。
夫は、そんな私を、
『過保護』だと言う―。
確かに。
共働きだったら、中々、こうはいかないだろう。
まぁ、過保護っちゃあ、
過保護だ――。
やがて向こうから、
トボトボ歩いて来る長男の姿が見えた。
『おーい!』と手を振ると、私の姿に気付いて、
ドタドタ足を鳴らしながら近付いてくる。
「㊤君、バイバイ!」
不意に後ろから、力哉君が駆けて来て、擦れ違い様に長男に声を掛けた。
が――。
長男は、彼に無言で手を挙げただけで、挨拶を
しなかった。
…???
なんだなんだ?
一体、どうした??
友達に挨拶しないなんて長男にしては珍しい。
何やら、ふてくされた顔をしているが……。
またまた、問題発生か?
この険悪な雰囲気…。
嫌~ぁな予感がする!
最初のコメントを投稿しよう!