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◇例えばそれは産声のような
人の死と言うのは、こんなに呆気ないものなのか。
貴方が死んだとき、私の世界は静かに、だけれど確かに終わりを迎えようとしていた。そんな経験はなかったけれど、敢えて形容するなら金槌で打たれたみたいな、強い衝撃。それが頭を襲った。
私は生きていて、お母さんだってお父さんだっておばあちゃんだって生きているのに。おじいちゃんなんてこの前米寿を迎えて、ついにここまで来たかあって笑って、笑って、皆で笑っていたのに。
その中に貴方も、確かにいたのに。
死ぬ。人が死ぬ。それがどれほどまでに悲しいことかなんて、私は知る由もなかった。私の周りでは誰も死んだことはなかったから。なかった、から。
恋心を抱くことも誰かと付き合うことも一緒に暮らすことも、初めては全部貴方だった。だけどこんな初めてはあんまりだろう。
わたし、これからどうやっていきていけばいいの。
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