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『案外、室内はシンプルな配置になっているのね』
リナは室内をぐるっと見渡しながらそのように呟いた。家具は必要なものしか置いてないのでどこか寂しげな印象を受ける。
『まあね…こっちの世界に来てからは家具とかそういったものは買う暇が全くなかったからな』
恥ずかしそうに言うダイキにヤヨイも頷きながら口を開く。
『お恥ずかしいながら右に同じです…それより、家具の持ち込みは大丈夫なの?』
『勿論!私は部屋にある家具を全て持ち込んだわよ。そうだ!ダイキ達のために私が買ってあげるわ!』
そんなリナの仰天発言に驚かされた二人は目を丸くする。お願いしたいのだが家具は値段がそれなりにする為、素直に頼みづらいという遠慮さがあるダイキは何とも気まずい表情になる。
『本当?何か悪いなぁ…』
『良いのよ。私が言い出したことだし…』
申し訳なさそうな表情のダイキにリナは笑顔で答えると軽く肘で小突いてきた。
『お礼の言葉はいらないわよ。受け取った時に言って頂戴ね』
ヤヨイの言葉を遮るとにっこりと微笑んで見せた。わざわざ、そんな事してくれるなんて…物好きにもほどがあるってもんだぜ。
『はは、それじゃお言葉に甘えさせてもらうよ』
結果、二人はリナに甘えることに決定した。リナは誇らしげな表情で何やら唸っていた。
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