~激動…そして~

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『行こう…って何処に?』 ダイキは不思議そうにクリストフに尋ねかけると彼は不思議がるように首を傾げる。 『君は本当に元気だね。大怪我を負ってというのに全く痛がってない…』 怪我を負ったダイキをまるで不思議な生物を見るような目で見つめる。 ふっ…そんなに見ないでくれよ。俺が痛い人みたいじゃないか。ダイキはそんな事を思いながらため息を吐き出す。 『あ、この傷は…』 ここでどうやら自分の状態に今更気づく。そして、一瞬の沈黙の間のあとに、 『い、痛い!何だ、これは!』 瞬く間に痛みが全身を駆け巡り、思わず叫び声をあげてしまい、表情が歪む。 『何故、今更!?遅すぎるでしょ!』 クリストフにそんな事を言われた。気が付くとヤヨイがダイキの制服を引っ張ている事に気が付いた。どうやら、何か聞きたい事があるみたいだ。 『どうしたのさ?暗い顔して…。柊さんらしくないよ』 ヤヨイに心配させまいと明るく話し掛ける。 『音無君…その傷、早く手当てしないと…』 傷口を指差し、心配そうな顔でのぞき込みながらヤヨイは小声で呟いた。 『そうだよなぁ…これ、どうしよう…』 『俺に任せてみなさい』 困り果てているダイキを見てクリストフは左肩の上に手を翳し、ぶつぶつとと呟く。すると左肩の傷口がみるみる塞がっていくではないか。一体、何が起こったんだ? 『凄い…一体、何をしたんだ?』 見慣れない光景にダイキは驚きを隠せなず、不思議そうに尋ね掛ける。
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