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ちなみにあたしはと言えばロインの激戦をただ口をパクパクさせ傍観していたわけではなく、ちゃんと離れた場所で呪文を唱えていたりする。
自慢じゃないがあたしは早口が得意だ。手先も器用なほうだと自負している。
何もない時と比べて今は戦闘中。集中力が散漫になりがちだがそれでもいつも通りに詠唱している。
あたしの呪文はまだ完成していない。もう一度言っておくけど、あたしはいつも通りにしている。それだけ激しい闘いをロイン達は行っているという事だ。
十を越えるか越えないかの攻防の後、狙い澄ましたかのようにロインが後ろへ大きく飛び退いた。
あたしの術が完成する。
「『アーバストラッシュ』」
突如咲くように出現した2つの大きな円形魔方陣がヴァルハイドを挟みこむ形で空間に浮遊する。
合わせ鏡状態になったそれらは動物の鳴き声に似た甲高い音を発しながら徐々に光量を増していった。
ヴァルハイドが魔方陣に警戒し翼を拡げ逃げようとするが遅い!
一気に迸る雷光。普通の雷と違ってこれは魔法で生み出した擬似的な雷。
地面に流れ逃げるはずもなくヴァルハイドを貫いた!
魔方陣同士を行き来しあう雷光の束はさながら一本の太い白線だ。
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