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思わず目を被いたくなる位眩しいが、あたしはこらえて我慢した。
もしも効かなかったら、を想定して。
呪文が簡単で印の動作もそんなに必要ない風系の魔法はあたしがよく好んで使う魔法だが、ヴァルハイドには効かなかった。
しかもただ風を起こす程度の攻撃ではなく、風に何らかの意志を持たせ凝縮し、攻撃力を桁違いにアップさせた上級魔法がだ。
クーラシェイカーと同じく上級魔法クーラバイン。深刻なダメージを与えるとまではいかなくてもそこそこは食らうと思っていた。
甘かった。鱗を剥がすどころか傷一つつかせる事ができなかった。
上級魔法でも炎系はためしていない。やつの口から吐く火炎球は見た感じ炎系のジークフレアの数倍の威力を誇っていたからだ。
ロインが、同じ種族であるヴァルハイドから作った大剣でその火炎球を切った事から炎に対してかなりの耐性があるとみていい。
まあ、自分の口から吐く火炎で口が火傷でもされたらそれこそロインなんかあたり指をさして笑うであろう。
荒れる大空を自由に駆ける天空龍だ、風に対してもそれなりに耐性があってもいいはずだった。
あそこでクーラバインを使ったのはあたしの分析ミス。
火もダメ、風もダメ、ならば相手はまがりなりにも生物――雷か、とあたしは閃いたのだ。
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