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四つん這いの状態で顔を上げると、俺は素直に言葉を失った。
あたり一面、灼熱のマグマ。
マグマだとすぐにわかる。ゆっくりと流動する紅いようで黄色く光ってもいる泥の海。底から沸き上がる蒸気が所々でコポッと音をたて、海の表面に気泡を作る。それが弾ける。
恐ろしいまでの粘性だ。岩石が融解してしまうくらいの熱量なのだ、当たり前と言えば当たり前だが。
蠢くマグマの海原は永遠に広がっているわけではなく、地面と同じ質の岩石で左右に切り立った壁がそびえていた。
その壁は今いるこの場所をぐるりと囲むようにあった。はるか上の天井には垂下した円錐状の岩が所狭しとはりつけられている。
高さもあるが、なんといっても今俺のいる場所の広さ。
ドラゴンですら翼を広げ悠々と旋回できるほどの空間だったことに改めて驚く。
立ち上がって辺りをよく観察してみると、出口がない。一体俺はどうやってここに来た?新たな疑問ばかりが生まれる。
ぐるっとめぐらした視線を元の位置、真正面に向けた。ちょうどこの赤い海の中腹あたりから奥の壁に向かって二本一対の石柱がずらりと規則的に並んでるのにも気付く。
最後の二本は他と比べると明らかに大きさが違っていたし、さらにその奥に上面が綺麗に切り取られた巨大な岩があった。そそり立つ柱達はそこで終わる。
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