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背後でいきなりの轟音。
火山活動か!?動くより早く、
――王よ。
深く、低い男なのか女なのか性別をつけていいのかわからない声。それが背後から聞こえた。
この声……さっき……?
その声には聞き覚えがあった。さっき目が醒めた時にかすかに聞こえた声だ。しかも、さっき聞いたもの、ではなく、以前から知っているような……誰だ。
俺はまよわず振り返っていた。興味でではなく、反射的に。振り向かざるを得ないような、使命感にも似たものがあった。
振り向かなければならない。
振り向いて、そして目の前に見える“ソレ”と俺は相対しなければならない。そんなところか。
自然と視線は上に行った。祭壇の岩あたりから猛烈に吹き上げられたマグマが天井にぶち当たり落下する。その勢いが失う事はなかった。ぼぉぉぉぉ、とけたたましい音を響かせ垂直に昇り続けた。
――王よ。我が見えるか?
再び低い声。
「えっ……どこ?」
――フッ
声の主が鼻で笑うと、同時に噴火していたマグマの激流が竜巻のごとく縦に渦巻き出した。
ゴクリと唾がのどを鳴らす。
渦巻く奔流が一瞬にして掻き消えた。中から姿を現したのは――……
「……ッ!!」
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