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――立ち話もなんだ。
座ってくつろぎながらでも話をしようではないか、王よ。久方ぶりの覚醒と解放だ、少々荒いが……
言い終わると赫い龍を炎の竜巻が一瞬にして飲み込んだ。
「おわわわっ!」
あまりに唐突で勢いがあったため俺は後ろに尻から転んでしまった。
『フゥゥゥ……。これで少しはしゃべりやすくなったかな』
「……!?」
竜巻が消えると、そこにはあの赤い巨体の龍はいなかった。
いなかった、というのは表現が間違ってるかな。俺はむこうが巨体だからという理由でななめ上を見上げていたから消えたように見えたのだ。
実際は俺の目線より少し高いくらいの位置にそれはあった。
「うわぁ、小さくなってら……」
そう、あの巨大な四肢は何処へやら。現れたそれは間違いなくあの龍と姿形は一緒だが、サイズが人間サイズになっていたのだ。
『珍しいか?ふむ、それはおかしいな、王よ。
王は幼少の頃よりドラゴンの変身した姿を見てきたはずだ』
「ん?……?……へっ?ほぇ?」
『ん~、まぁいいか。それより座ろうではないか』
小さくなった龍はマグマに浸かっていた足を動かし陸を踏んだ。ちなみに小さくなって可愛らしさ、のようなものは膨らみはしたが圧倒される覇気はそのまま。
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