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『む、なぜだ』
いや、あきらか熱そうだろそれ。目は口ほどになんとやら。俺の椅子への冷めた視線を理解した龍は「熱くはない」と言った。
半信半疑のまま腰を下ろすと……あら不思議。
「熱くねぇし……すげぇ!モフッとしてる」
炎のそれは熱くも冷たくもなく、また硬くもなかった。言った通りモフッとした、何とも形容しがたい感覚がケツに伝わる。
『王に気に入ってもらえるとは、我も光栄だ』
……はっ!今気付いた事がある。今の龍の発言はたしかに“王”と言っていた。さっきから“おうよおうよ”と言っていたのは“オウョ!”ってな感じのあいさつか口癖か何かだと思っていたのだが……違ったらしい。
“おうよ”は“王よ”だったのか。バカだ俺。しかし疑問が残る。
「そのさっきから言ってる“王”ってのはなん……なんですか?」
俺は別に身分の高いふんぞりかえった白髭をはやした王でも、その一族でもないはずである。拾い子だから家系なんぞわからんが。
ただ一つ言える事は、俺は目の前に足を組んで座る気さくな龍とは知り合いでも何でもないし、確実に血も繋がってる気配もない。
しかもこんな偉大な感じの龍を従えてしまうほどの力は……俺にはない!
きっぱり。
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