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『王は王だ。
我ら七竜の頂点に立つ者。申し遅れたが、我はその七竜が一つ、
“紅蓮竜”のファタルガオラ』
「紅蓮竜……ファタルガオラ……」
話が飛躍しすぎている。一つ一つの言葉を理解するのに時間がかかった。
竜――ファタルガオラの言葉を呟くように繰り返す俺を見て満足そうに頷くと、彼(?)は続けた。
『そうだ、王よ。
紅蓮竜と呼ばれているが、ファタルガオラと呼んでくれると堅苦しくなくてこちらもいい。
ああ――勝手に足を組んで話をして失礼、王よ。
座るとついつい足を組んでしまうのだ、むぅ』
「は、はぁ……」
あいまいな返事しかできないが、とりあえず畏まらなくてもいいようだ。そうなると話は早い。俺もいつも通りぐだっと話すのみ。
自然と足を組んでいた事を後悔しているのか、顎に手をそえ、自分の足を見てむぅむぅと唸っているばかり。
そんなに悩むなら足組むなよ、とツッコミたい衝動を俺はなんとかこらえた。
なぜならそんな気軽なツッコミを入れれるほどの仲ではなさそうだからだ。俺にも多少遠慮はある。
『……いや、しかし……う~む……王の前だぞ……いやいや……待てよ』
何やらものすごく悩んでいるようだ。なんだコイツ。
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