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『いや、違うな。この世界は少なからず我の影響を受けている。我はアルカルト大陸に眠る紅蓮竜。王がここアルカルト大陸にいるから、我と共鳴したのであろう』
「あ、うん。わけわかんないけど、そうなんだ。んじゃあ……ファタルガオラはここに寝てんのか?」
俺は椅子に深く座りなおし、机に肘をのせ――あ、机は椅子と違って硬いぞ――あごを手に乗せて言った。
『そうだな、眠っているというか眠らされていると言った方がいいな。我は封印されたのだ』
「え!?誰に?」
思わず聞き返す俺。
ドラゴンを倒す事すら難しいのに、封印など誰ができるのであろうか。
ましてや名前的にもドラゴンよりはるかに強そうな紅蓮竜を封印するなど。
『かつてこの地で、邪竜ティアマト率いる邪竜軍と、我ら紅蓮、冷蒼、翡翠、紫電、琥珀、冥王、白銀の七竜とが争った大規模な戦争があった事は……』
朗々と話をしようとしたファタルガオラはチラリとこちらを見やる。当然の事ながら俺は……、
「知らねッ」
舌をペロリと出してとぼけてみせた。
『……。王は腕を上げる前に少々文献をかじったりしなければな』
やれやれ、と言った感じでファタルガオラは昔話をし始めた。
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