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「で、その話がどうしたって?」
他人事だと思い頭に手を乗せ優雅に構える俺。ファタルガオラは右手を何もない空間にちょこんと触ると、空間を蝕むように巨大なヴィジョンが現れた。
そのヴィジョンが映し出していたのは、こんな火山地帯ではなく見慣れた外の景色だった。海と断崖の見える草の生えた平野には泣き崩れる1人のよく知っている女の姿が……。
「ッ!!
ニイナァァァァ!!」
思わず叫んでいた。叫びながらヴィジョンの元へ行こうとして、存在を忘れていたテーブルを倒してしまう。倒れたテーブルは炎が散らばり跡形もなく消えた。
そうだ思い出した。俺はあそこにいたんだ。
あそこでニイナと一緒に天空龍ヴァルハイドと闘っていたんだった。俺がやつの攻撃を食らって……。
そうして俺は死んだのか?
死んだからこんなとこで竜としゃべっているのか?
ヴィジョンの中のニイナはいつまでたってもなかなか動かなかった。まさか俺の死のせいで硬直してるんじゃあ!
「バカ野郎ッ!敵がいてんだから逃げろよ!」
死んだ俺の言葉が届くはずもない。届くわけがないのに俺は必死でニイナに呼び掛けていた。
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