~ 炎 ~

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しかし、となるとやっぱり俺の考えにいちいち……     『うむ、ツッコミはかかさないつもりだ』     うわぁ、この上なく面倒臭い。     『まぁ、そう言うな。常に王を把握できるわけではない。 “解放状態”、つまり王の装着しているその籠手が今のように我の力を借りて変型している間のみ、王との意志疎通が行えるのだ。 む、余談はこれくらいにして……王よ、むこうも態勢を整えたようだぞ。 娘は無事だ。ならば今は戦う事に』     言われなくても!     ここで闘えばニイナに被害が及ぶかもしれない。精霊王だがなんだか知らないが、ファタルガオラは匂いがした、と言っただけで、今も匂いがしているとは言っていない。     理由はどうあれ、何らかの力でニイナが無事だったのはいい。その力が今も効力が発揮していないのならば、意識のないニイナのいる場所で闘うのは得策でない事はあきらか。     前へ出て、止める。んでから場所移動!     飛べないとわかったヴァルハイドは大地を揺るがしながら突進する。 それに合わせ俺も駆けた。     剣と竜との衝突。互いが衝突の反動で仰け反った。 弾き上げられた剣を軸にして体の重心移動をする俺の方が立ち直りが一瞬早い。 ニイナは背後にいる。このまままた突っ込まれると厄介な事だけは確かだ。     すぐさま相手の懐に飛び込み、衝突のせいでまだ痺れの残る左拳をやつの土手っ腹にたたき込んでやった。 ――その時、     ドコォォン!!!!     相手もびっくり、俺もびっくり。なんと俺の左手が爆発した。 しかも並の爆発ではない。 あのヴァルハイドが爆発のせいで軽く吹っ飛んでいったのだ。かくいう俺も普通に吹っ飛んでいるのだが。     「なっ……!?」     地面を転がり、再びニイナの横たわる位置にまで吹っ飛ばされた俺は驚きのあまり声が出なかった。     痛みはない。綺麗に爆発しすぎて左手が失くなったのか!? 恐る恐る左手を確認すると、 そこには元気な左手があった。     「うぉぉぉぉ、セェェーッフ!!」     はらはらどきどき。 左手は無事だが、左の籠手が熱を帯びた金属のごとく紅い光を放っていた。 なんだったんだ、あの爆発は。と、そこにファタルガオラの声が聞こえた。     『うむ、説明が遅れたが、今のが我の籠手の力だ。 絶大なる紅蓮の豪焔が、拳から放たれ敵を滅す』     ……それは一番最初に言うべきだろが、コノヤロー。
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