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目の前に座り食事を続ける黒髪の男は止まる事を知らない。
時間が経つ毎に積み上げられた皿が増えていくのを“信じられない”と目を丸くしているのは何もあたしだけではなかった。
できた料理をすぐに運ばなくてはならないウエイトレスも、五人で食べに来た家族連れも、ゴミ箱に放り込む勢いでご飯を食べる光景に皆呆気にとられていた。
あたしは眉間に指を当てて沈痛な面持ちで彼――ロインに話し掛けた。
「よく……食べるわね。昼間もそうだったけど」
食べながら髪と同じ色をした瞳をあたしに向けると、
「ほはべほほはべへー……んぐ、のか?」
「は?」
わけのわからない言葉を発した。
唯一わかったのは『のか』の二文字……。
はぁ~。
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