~青年と少年~

2/32
97980人が本棚に入れています
本棚に追加
/826ページ
「ふぁ……あああ……ああああ!眠たっ」     半日寝たけど。     寝巻きと外出用の服が一緒の俺は当然下はスウェット上はシャツ。     半身を起こして時間を確認すべく窓の風景を見た。 活気と陽の高さからして、昼か?     平~和なもんですなぁ。 つい二週間ほど前は、俺も含め仲間が重症になるほどの激戦をした後だってのに街は依然変わらずの様子。     え、そんな事があったの?的な感じで日々が流れてるようだ。     いーけどな、別に。 称賛されたくてやったわけじゃねえし、ノリっつか流れみたいな所もあったし。     むしろ、邪竜が目覚めたからワーワーなってる方が逆に嫌かも。     この街の人間が誰も死なずに済んだんだ、いいじゃねえか。     自室の窓から見える遠くの町の様子の事で色々と考えていると、後ろから大声で怒鳴られた。     「ったくアンタって人はぁぁ! いつまで寝てんのよ! ハイ、起きる起きる。ご飯も作っといたし、風呂に入るなら早めにね。洗濯したいんだから」     エプロン姿のニイナだ。 なんでも一昨日くらいに二件隣のハーシェスおばさんからもらったらしい。     律儀に着用しているところを見ると、真面目だな~と感心してしまう。     「やあ、おふぁようー」   「おふぁよー、じゃないわよ!天気いいんだから布団も干したいんだけど」     朝っぱらから元気だな、こいつ。朝じゃねえか、昼か。 昼間っから元気だな、こいつ。     転がってベッドから床にドスンと落ちると、ぼけぇっとする頭をポリポリかきながら下へ降りる。     食卓の上にはニイナの手造りの料理の数々。しかし物淋しい。     「どーにもなぁ……」     いつもなら食器を洗ってるか、食卓の上で寝そべり俺が飯を食い終わるまで傍にいたりするぷくがいない。     ぷくがいないから当然のこと、家事全てをニイナがやっている。     始めからいなかったのと、いたけど今はいないのではこうも違うのか。     冷める前に飯を食おう。     そう考えた俺は椅子に座り黙って食事を開始した。    
/826ページ

最初のコメントを投稿しよう!