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しばらく同じように相手さんは動いたり俺を観察したりしているが、いい加減俺もイライラしてきたわ。
場所はだいたいはわかるから石でも投げてやろうか!と考えた時、俺の進行方向からも小さな気配がした。
あらら、囲まれ……ちゃった?
……っつーわけでもないのか。
刹那に見せた警戒の色を解除する。なぜなら暗闇にいるそいつの正体を俺は知っていたからだ。
闇から生えるようにして足先が出てきたそいつの正体とは――
「ぷく、か……もう大丈夫なのか?」
全身純白の状態のぷくであった。以前は傷だらけで見ているこっちが痛く感じでしまうほどであったのに、その傷はすっかりなくなっているではないか。
「御覧の通り、良くなったミャ」
さすが高位の精霊さんってところか。自然が多いところで回復しちまうなんざ人間にはできん事だよまったく。
ぷくは俺に近寄ってくるなりぴょいんと跳ねて頭に飛び乗った。
そーそー、この頭の上の何とも言えない重量感が懐かしいのよ。
ぷくの頭が近くなったところで、俺はぷくにしか聞こえないくらいのは小さな声で言った。
「さっきから俺を見てるやつがいるんだけど、心当たりねえか?」
するとぷくは、
「あるミャ」
ぷくも気づいていたか。
言ってみりゃぷくはこの森の長だもんなー。
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