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「最近来たようだミャ。
見てはないが、存在は知ってるミャ」
どうやら奴さん、相当警戒心が強いのかはたまた単なるビビリで接触を拒絶しているだけか。どちらにしろ、むこうからのコンタクトはなさそうだ。
「今のところ害がないので放置してるミャ。小僧はその用でここを訪れたのかミャ?」
「あー、まーそんなところだ」
ぷくが俺の所に来た理由は俺の気配を感じたので久し振りに会いに来たのだそうな。
しばらくぷくを頭に乗っけたまま歩き、ぷくと出会った湖までの間ずっと話をしていた。
「ま、害がねえなら問題ねえや。俺はそろそろニイナが心配する頃だと思うし帰るわ」
「うむ。気をつけて帰るミャ」
「誰に言ってんだよ。
んじゃな、次は出発する時だかんな。忘れんなよ」
「心得ているミャ」
そう言って後ろに軽く手を振りぷくと別れると、俺は元来た道を帰ることにした。
道中変わらず視線は俺に注がれている。
はぁぁぁぁ、全くアプローチのねえ相手にどうすべきか、答えは決まってる。
森の入口とぷくの湖のだいたい半ばまで来たあたりで、俺はピタリと足を止めた。
足元では月の光に照らされた雲の陰がゆっくりと動き、何かの動物の鳴き声が後を絶たない。
相手がいるであろう方向に目を向け、
「さっきからさー、人の事じろじろ見過ぎじゃね?いい加減にしねえと俺も怒るぞぉ?」
俺はそう言った。
するとすぐに視線が注がれなくなった。
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